京都の歴史と文化 映像ライブラリー

まつりと行事・習俗

京都の剣鉾差し

 京都市登録無形民俗文化財「一乗寺八大神社の剣鉾差し」「嵯峨祭の剣鉾差し」「梅ケ畑平岡八幡宮の剣鉾差し」「西院春日神社の剣鉾差し」の記録映画(原版は16mmフィルム)。京都市左京区一乗寺の八大神社で5月5日に、京都市右京区嵯峨の嵯峨祭で5月第4日曜日に、京都市右京区梅ケ畑の平岡八幡宮で10月10日に近い日曜日に、京都市右京区西院の春日神社で10月第2日曜日に行われる。
 八大神社の氏子祭では、神輿渡御の先払いとして3基の剣鉾(菊鉾、柏鉾、龍鉾)が出て巡行路を浄める。剣鉾は、鉾差し(差し手)が腰の差袋に鉾を立て、鉾先の真鍮製の剣を前後に振りつつ、鈴を鳴らして歩く。京都の剣鉾差し行事の多くは、若王子村などの植木職人や、浄土寺村などの石工に鉾差しを頼んでいることが多く、一乗寺はそれらの流れを汲んだ鉾差しを輩出する地域である。一乗寺の剣鉾は、祭具として神社に保管されており、祭礼には地元の鉾差しが剣鉾を差す。
 嵯峨祭は、愛宕神社と野々宮神社の祭礼で、神輿は清凉寺門前の御旅所から出発し、再び御旅所に還かえる。その神輿渡御の先払いとして5基の剣鉾を差して巡幸路を浄める。大門町の龍鉾、中院町の麒麟鉾、烏居本町の澤瀉鉾、四区(小淵町・井頭町・西井頭町)の菊鉾、天龍寺地区(龍門町・角倉町・毘沙門町の交代制)の琵琶鉾(牡丹鉾)の5基がある。嵯峨祭では、各鉾町で鉾差し(差し手)を養成し、巡行に剣鉾を差しているが、特に剣鉾を回転させる差し方に特徴がある。
 平岡八幡宮の秋季例祭では、4基の剣鉾(中島鉾、一ノ瀬鉾、善妙寺鉾、平岡鉾)が出る。かつては神輿の先払いとして剣鉾を差していたが、現在は11時頃から境内で剣鉾を差し、午後の神輿渡御ではトラックに剣鉾を載せて先導する。梅ケ畑の3地区と平岡地区では、毎年交代で「鉾宿」を勤める制度があり、古くなった鉾は留守鉾と称して、鉾宿の玄関先に立てる。各鉾町で鉾差し(差し手)を養成し、剣鉾を差しており、普通に歩くように両足を交互に出す差し方に特徴がある。
 春日神社の氏子地域には、5つの鉾仲間があり、春日祭の東西2基の神輿渡御の先払いとして5基の剣鉾を差して巡幸路を浄める。各鉾仲間では、剣鉾一式と鉾差しの衣装等が持回りで保管し、鉾差し(差し手)は一乗寺や鹿ケ谷から毎年決まった人に来てもらうという習慣が根付いている。西大路四条の交差点では、吹散をつけた1基と、他の4基が同時に逆周りに回り、その後、2基の神輿の「巴回り」がある。境内に戻ると5基の剣鉾に吹散がつけられ、「拝殿回り」がおこなわれる。
 本作品では、「一乗寺八大神社の剣鉾差し」「嵯峨祭の剣鉾差し」「梅ケ畑平岡八幡宮の剣鉾差し」「西院春日神社の剣鉾差し」の順に紹介している。
■製作年月:平成3年(1991)8月
■製作:京都市文化観光局(企画)
■制作:KBS京都、アート・プラザ
■28分58秒
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